「自分が言ったことを後から思い返して、ひどく気にしてしまう」 こんな経験、ありますか?
ボクあるのです。
片手を失った女性に
「たかが片手ぐらいです」
言ったことがあるのです・・・・・・
この言葉が、彼女を傷つけてしまったのではないかと
ずっとボクの心に残っていました。
札幌の個展にお越しくださった
若くかわいい女性のお話です。
その方は農作業中、
機械に巻き込まれ左手を切断する大事故にありました・・・・
見たら、左手の手首の先から包帯が
ぐるぐる巻きになっていました。
彼女は農業大学の先生で、実習の時、
機械の調子が悪く「つまる」というところに、
ちょっとした不注意で手をふっと伸ばしたところ、
軍手もろとも機械に引っかかって、
左手がローラー部に吸いこまれて、
一瞬のうちに粉々になってしまったそうです・・・・・・
一見、気丈に振る舞おうとされているお姿でしたが
やっぱりなんか無理されているかな~と感じました。
お話(筆談)ささせていただきましたが、
彼女はすかさず目を潤ませ、声を立てずに涙が頬を伝いました
突然、体の一部・機能を失った苦しさは、
ボクも痛いほどよく分かる。
この時もボクは「うん、うん、うん」と
彼女の話を全て肯定しました。
しばらく彼女は「吐き出し」して、
『家族に心配させないように強がる自分がいました。
泣いてすっきりしました』
と言われました。
ボクは
『よく頑張られましたね。
これからは頑張らなくてもいいですよ。
たまにおもいっきり泣いていいんですよ』
と申し上げました
「たかが片手ぐらい」
彼女が落ち着いたことを確認して、
またこんなことを申し上げました。
『大変に失礼なことを申し上げますが、
たかが片手ぐらいです。
もう失ったことを数えないでくださいね。
きっとできることがあるはず。
ボクは利き手の機能を失っても、
左手で会話して、
絵を表現して、
それを人様に売り生活していますよ。
片手で運転して全国を周っていますよ』
「運転できますか!」
と ぱーっと彼女のお顔が明るくなりました。
どうやら、運転できるというところに
彼女の希望のツボがあったようです。
片手で運転できるボクがつけている装置を
絵に描いて説明しました。
*参考

https://www.instagram.com/p/CU7CR6ZlhXe/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==
『運転など片手で十分だよ。
障害は確かに不便ですが、決して不幸ではありません。
この話は、あまり人に言わないけど・・・・・
障害がたけの一番の売りですよ(笑)
見方を変えたら味方になりますよ』
失った片手と握手して笑顔で帰られました。
彼女の幸せをお祈りします。
ずっとボクの心に引っかかっていた
「たかが片手ぐらい」という、
あの時「たけ」しか言えない強烈な言葉が、
彼女を傷つけていないか・・・・・
そして、それから一年後、札幌で講演をした時、
彼女が来てくれたのです。
むちゃうれしかった!
彼女はほどなく涙目でしたが、
一年前の涙とは違うと感じました。
彼女の左手は義手になっていました。
実は、ボクにはずっと気になっていることがありました。
1年前、「たけ」しか言えないことだとは思いますが
『たかが片手ぐらい』
と言ってしまったことが、ずっと気になっていたのです。
ひどいことを言って傷つけてしまったかもしれないと・・・・
しかし、そんな懸念は不要だった。
すごくうれしいお手紙を頂きました。
『~前略~身体も心も立ち直るまではと、
札幌で療養していた時に、
たけさんの個展をみかけました。
けがをしていなければ、
たけさんの個展に興味が向くこともなかったのかもしれません。
たけさんはもっとたくさんの身体機能が失われているのに、
心温まる作品で人々に感動を与えています。
たけさんが「たかが手一本ですよ。運転も出来るよ」
って言って下さったことは、本当でした!!
現にこうやって手紙を書いたり、
車も回転ノブを付けて運転出来ています。
仕事も
『指導する立場の者がこんなけがしてちゃ、
学生に合わせる顔がないなー』
と尻ごみする気持ちもありましたが、
おかげ様で周りの皆さんのご協力もあり4月より復職して、
乗り切ることが出来ました。
自分に出来ることを一生懸命やるだけなのだな。
とよくわかりました。
たけさんが再び北海道に来られることがあったら、
絶対、絶対、一年前のお礼を言いたい!
とずっと思っていました。
一年前の時はまだけが後間もなくて、
今後の見通しも不明で不安だったので、
たけさんの励ましの言葉にぽろぽろでした。
これからはまだまだたくさん残されている自分の可能性を信じ、
生き抜いていくことが出来る!と実感しました。
なにより「命があってよかった!」
これだけでも私は相当の幸運の持ち主です!
一年前、たけさんに出会えて本当に良かった。
私にパワーを下さって本当に本当にありがとうございます!』
感動しました。
泣きそうになった。
ボクは彼女に「次はあなたの番だよ!」と申し上げ、
自作の詩を色紙に書かせて頂きました。
【そろそろあなたの出番です】
気づいてほしい
その急ぎ足をとめて
一輪の花が話しかけているのを
気づいてほしい
その丸めた背中をのばして
輝く星が話しかけているのを
いっぱい耐えたんだね
いっぱい泣いたんだね
くやしかろうが、悲しかろうが
受け入れて感謝した
あなたを尊敬します
さぁ、そろそろあなたの出番です
さぁ、はりきって どうぞ!
やがて あなたの勇気がこの世界をそめるでしょう
さぁ、いよいよあなたの出番です
そうです! 感じたままに!
やがて あなたの強さにこの世界が共鳴するでしょう
気づいてほしい
プライドなど邪魔なことと
誰かと比べることはないんだよ
さぁ、そろそろあなたの出番です
さぁ、まだ遅くはないよ
人生っていつだってまだまだこれからなんです
さぁ、いよいよあなたの出番です
さぁ、お気楽にいこう
いざとなったら自分でも驚くほどの勇気を発揮するよ
さぁ、そろそろあなたの出番です
さぁ、はりきって どうぞ!